本とTシャツと私~クラフトワークスKyotoより愛をこめて~

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

猫鳴り 沼田まほかる・作

ネコは好きです、でも今回紹介する本「猫鳴り」はネコ好きには少ししんどい内容かもしれません。

少なくとも私は辛かったです。

今回紹介する本は沼田まほかる・作 「猫鳴り」です、3本の中編からなる連作中編からなっています。

ストーリーは、ネコのモンとそれを取り巻く人々の心あたたまる触れ合い

とかそんな何処にでもありそうな陳腐な話ではありません。

まず第一章で主人公の信枝は子猫のモンを捨てます、新聞にくるんで畑に捨てます鴉がいるから鴉に襲わせるためです。

それでも、怪我をしながらも信枝のもとに戻ってくるモンに信枝は怪我の治療をしてから、森に捨ててしまいます。

こんな感じで、ネコ好きには辛すぎる出来事からストーリーは始まります。

最後には信枝はモンを飼うことを決めますが、それまでがかなり辛いです・・・

そうなってしまうのは、主人公の信枝が子供を流産してしまった悲しい過去があるからなのですが。

それでも、この本はとても深く考えさせられる本です、と言っても動物を大事にしようとかそんな事ではありません。

ここに出てくる登場人物はみんな、心に傷があり、幸せそうな人を見ても不快な気持になるぐらい荒んでいます。

ネコのモンは特に何か特別な事をするわけでは無いのですが、登場人物たちはネコのモンを通して色々な事を考え、前を向き現実に向き合っていきます。

けして癒されたりはしませんが、モンの強さや気高さに励まされ立ち直っていくのです。

私はこの小説で沼田まほかるさんの作品を読むのは2冊目です、最初に読んだのは「ユリゴココロ」という本でした。

沼田まほかるさんの小説は、深い愛や慈しみの心を書き出すのがとても上手い作家さんです。

「ユリゴコロ」も「猫鳴り」も表現されているのは人の心の根底にある深い深い愛です。

愛とか陳腐な言葉を使うのはあまり好きではないのですが、それ以外では表現できないのです。

文章も素晴らしいです、もちろ“愛してる”とか陳腐な言葉は使われていません、むしろ冷静で冷徹なくらい客観的な文章で淡々と状況を説明していきます。

しかし一見、なんてことない普通の文章なんですが読んでいるとずるずると本の中に引きずり込まれていつの間にか最後まで読まされています。不思議です。

「ユリゴコロ」に関しては休みの日の朝に読み始めてしまい、気が付いたらお昼ご飯も食べ忘れて最後まで読んでました。

正直、この本のセールスポイントがどこかと聞かれると凄く困ります、泣きたいとか、感動したいとか、癒されたいとかそんな軟弱な目的では読んで欲しくない。

「24時間テレビ」でも見て、アロマでも焚いといたらいいのです。

何か大きな事件が起きるわけでもない、大恋愛もない、出てくるネコも正直、可愛くないです。

それでも、この小説は素晴らしい小説としか言いようが無い。読んでみればわかります。

読み終わったあと、すぐには分からないかもしれませんが、ふとした時にこの小説を思い出して内容の深さにハッとするのです。

気になる人は是非読んでみて下さい。


猫鳴り (双葉文庫)猫鳴り (双葉文庫)
(2012/09/30)
沼田まほかる

商品詳細を見る







スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kinusayaenndou.blog.fc2.com/tb.php/56-c63db085
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。