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リカーシブル 米澤穂信・作

世の中には、読むのに覚悟がいる本があります。

今回上げた米澤穂信の作品で「ボトルネック」はまさに読むのに覚悟のいる本でした。

ネットなどの書評でも評判になっていて、お勧めしずらいとまで書いてありました。

読んでみればわかるのですが、本当にお勧めはしずらいです。

後味も悪いし、最悪の気分になれます。

私は、読む前に覚悟をして読んだにも関わらず、読んだ後は3日くらい引きずりました。

そして、今回紹介する「リカーシブル」は帯に“青春の痛ましさを描いた名作ボトルネックの感動ふたたび”と書いてありました。

これは読まねば!と思いました。

上にも書いたようにお勧めしずらいやら、最悪の気分になるとまで書いているのに、読みたいと思うのは矛盾していると思われるかも知れません。

こいつ、もしかしてどMなんじゃないかと危惧された方もいるかもしれません。

大丈夫です私は変態ではありません!(・・・たぶん)

確かに、今回紹介する「リカーシブル」は最悪の読み味でした。

腐った泥水に生クリームをトッピングしてぐちゃぐちゃに混ぜたものを、口に突っ込まれた気分です。

ふとした時に思い出して、気持ちも落ち込みます。

ただ、読んでみていただければわかるのですが、この小説はすごく面白いのです。

読み出したら止まりません。

きっと最悪な気分になるに違いないのは分かっているのに続きが気になって仕方なくなるのです。

矛盾しているようですが本当です、読んでみればわかります。お勧めはしませんが(笑)

ストーリーは、父が失踪し母の故郷に引っ越してきた姉のハルカと弟のサトル。引っ越した町は「タマナヒメ」という伝説の女がおり、ハルカとサトルはこの寂れた町で恐ろしいことに巻き込まれていきます。

米澤穂信はミステリー作家なのですが「ボトルネック」ではあまりミステリー要素は少なかったように感じました。

ただ今回は、ミステリー要素もふんだんで、そして最悪な気分はそのままにといった感じです。

あらゆる所に複線がはっており、計算され尽くした構成と文章で、あっという間にこの世界に引き込まれ、そして泥水生クリームを飲まされるのです。

たとえば、そこかしこに散らばっている比喩表現などに少しづつ毒のある表現を使ってなんだか不穏な空気を醸しています。

-本文抜粋-

 コンクリートを流し込んだだけの三和土にスニーカーを脱ぎ捨てて、転げ落ちたら首の骨が折れそうなほど急な階段を駆け上る。


 校長先生もジャージ姿だ。包丁で削いであげたくなるほど大きなお腹がはっきり見えていて、ちょっと可哀想な気がする。


こんな感じです。

読み返してみると、ああこれも複線だったのかと驚くほどちりばめられていて、なおかつストーリーや構成は全く破綻もしていなくて読みやすい。

普通に読んでいてもその凄さは分からないのですが、少し引いた目線で見てみるとその凄さがわかります。

この小説を読んだ後、時間がたってもこの小説のこの後どうなったのか気になり意味も無いのに考えてしまいます、最後に少し明るい表現もあるものの状況は絶望的な事ばかりで、どう考えても事態が好転しそうな要素もありません。

タマナヒメの真意はどこにあるのだろうかとか、ハルカとサトルの母親や父親の心境、町の今後はどうなるのか、伝説はどこまで本当だったのか、あの文章は裏を読むべきじゃないんだろかとか。

考え出したら限なく出てきます。読み終わった後も背後霊のように小説がのしかかってきます。

もう一度言いますが、決してお勧めはしません。でも面白い小説であることは保証します。




リカーシブルリカーシブル
(2013/01/22)
米澤 穂信

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