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「王とサーカス」米澤穂信・作

今回読んだ本は米澤穂信さんの「王とサーカス」です。

米澤穂信さんの本をこのブログで紹介するのは多分今回で三回目くらいではないでしょうか。

相変わらず面白い話を書かれていて、本を出される毎に深みみたいなものが出てきている気がします。

それに注目度も高いです、帯にも書いてありましたが本屋大賞にもノミネートされましたし、過去作では映画化もされている作品もあってまだまだこれからが楽しみな作家さんです。

今回、紹介する本「王とサーカス」は米澤さんの初期の作品である「さよなら妖精」という小説のシリーズになります。
ただ正直私はこの本を読んだ事があるんですが大分昔で、内容をほとんど覚えてなかったんです(ー ー;)

まあ、覚えてなくても「王とサーカス」は読んでもなんの問題もない内容なのでいいのですが。

いかんせんその時の私の「さよなら妖精」の印象があまり良くなかったんです、いや、良くないわけではなくってただ単に私が理解しきれなかっただけなんですけど。

何がテーマになっているのか何を作者が伝えたいのかそれが結局理解しきれないまま終わってしまった印象だけが残ってしまっていたんです。

今となっては何の何が分からなかったのかもよく分からないのですが…( ;´Д`)自分の記憶力が恨めしい限りです。機会があればもう一回読み返したいです。

なので正直これを読もうかどうかも少し迷ってもいたのです。

しかし!

それは杞憂に終わりました、今回もとてもおもしろかったし興味深い作品でした。

今回の作品は「さよなら妖精」に出てきた登場人物、太刀洗万智が主人公です。彼女は記者になり取材のためにネパールにいきそこで王族が殺されるという実際にあった事件に遭遇してしまう。そこで彼女がそこで記者として事件にどう向き合っていくかと言うのが大まかなお話です。

実は前回紹介した湊かなえさんの「白ゆき姫殺人事件」と共通点があってどちらにも記者が語り手なんですよね。「白ゆき姫殺人事件」は赤星という雑誌記者がインタビュー記事で構成されていますし「王とサーカス」は太刀洗万智という雑誌記者の主観で物語が進んでいきます。

面白いのが双方の記者の性格が全く違うところです。でもこの2つの小説が伝えるテーマは驚くほど似ています。

まあ、報道という仕事をしている人物が中心の話である以上にてくるのは当たり前なのですが、アプローチも辿る道も主人公の結末もが全く違うのにこの二冊の本を読むと何かを人に伝えるという事の難しさ、報道とはなんであるかを真剣に考えさせられます。

2冊とも情報を正しく伝えるという事の難しさと恐ろしさというものをミステリーというジャンルで見事に書ききっていて、思わず唸ってしまいました。

ちなみに、この2冊は意識して選んだ訳ではなく、本当に偶然並んでしまったもので、読んだ私が一番ビックリしています。

違う視点から2人の作家さんが書く報道とは何かというテーマを読むと、より立体的に考えられた気がして面白かったです。

読むのなら是非この2冊を並べて読んでみて欲しいと思いました。

あとこの小説は文章も素晴らしいです、特に最初の一行は凄く良くて一気に引き込まれました。

ーー誰かの祈りで眼が覚める。ーーー本文より

なんだか詩的で一瞬なんのことかわからないのにその文章で小説の世界観を表現していて引き込まれます。

ついつい続きが気になって読み進めてしまいました。

結末が気になりはしましたが、できればこの小説が終わって欲しくないとも思いました。

だけど小説のラストはやるせない気持ちになりました、まあ、米澤穂信さんの作品の特徴ではあるのですがやっぱり何かがじわりと浸透してきます。



この小説はネパールが舞台です、そこで出てくる国の現状は日本に住んでいる私たちにとってはどこか他人事でどこまでも対岸の火事だ。

この小説の中でネパールの軍人が主人公の太刀洗に取材を申し込まれ断った時の言葉が印象に残りました。

その軍人は言います。

”恐ろしい映像を見たり、記事を読んだりしたものは言うだろう。考えさせられた、と。そういう娯楽なのだ。ーー中略ーーお前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの出し物だ。我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ”

グサ!っときました、ニュースを娯楽のように見ているというのは私も心当たりがあったからです。ゴシップが好きなのもきっとこういう理由も一つあるんだと思います。

人の不幸をどこかエンタテイメントのように見てしまう、正直そんなことないとは言えません。

なのでこの小説の主人公がたどり着いた結論には心打たれました。

どんな結論にいたったかはネタバレになるので言えませんがこういった難しい問題に答えを出してくれた事は嬉しかったです、他の作家さんだと結構ごまかしたり、答えを読者にゆだねてみたりしたりするので、凄いと思います。

内容が気になる方はぜひ読んでみてください。

それから先ほども書きましたが「白ゆき姫殺人事件」も合わせて読んでみて下さい。








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